貴社の業界におけるデジタル体験の実状をご確認ください
2024年の戦略を強化するための過去3年間の主要データとインサイトのスナップショットをご覧いただけます。
三井住友カード株式会社
マーケティング本部 IT戦略部
部長 山田 かおり氏(写真向かって左)
部長代理 内藤 慧氏(写真向かって右)
同課 藤田 美香氏(写真向かって中央。一緒に写っているのはSMBCグループ共通ポイント「Vポイント」のキャラクター・ビバすけ)
(※所属・肩書は2024年1月時点のもの)
三井住友カードは、SMBC(三井住友銀行)グループのクレジットカード会社です。さまざまなサービスを展開するなかで、IT戦略部は、TポイントとVポイントの統合および利用拡大推進やSMBCグループの個人向け金融サービス「Olive」の新たなサービスの企画・開発をおこなっています。
また、デジタル手続きの完結率向上のため、顧客の声・定量解析を生かし、顧客接点のさらなるデジタル化と顧客軸でのデジタルコミュニケーションの実行・改善に取り組んでいます。
あわせて、社内外デジタルサービスのUI/UXの強化と全社横断的なデジタル人材の育成も担っています。
クレジットカードは利用し続けてもらうことが何よりも重要ですので、事業に直結する施策だと考えています。新型コロナウイルス感染拡大により、オンライン手続きの需要はここ数年で格段に高まりました。さらに、Z世代以降デジタルネイティブの世代が増えるほどオンライン手続きは増えていく見込みですので、デジタル接点の改善は欠かせません。
私たちが取り組んでいるテーマは「フリクションレス」です。フリクション(摩擦)は一般的にページ離脱の要因箇所を指しますが、私たちはそれを「違和感」と捉えています。違和感が顕著にあらわれやすい例として、引越しの住所変更や、家族環境の変化による名義変更などの手続きがあげられます。こうしたちょっと面倒な手続きの際に、エラーが続いて先に進めないようなデジタル体験の「違和感」が発生すると、カードそのものを使用してもらえなくなります。小さな違和感でもすこしずつ蓄積されると顧客はどんどん離れていくのです。
顧客に選ばれ続けるクレジットカードになるために重要なことは、飛び抜けて素晴らしい体験を提供することではありません。違和感なくずっと自然に身近なものとして使い続けてもらうことが重要なのです。
デジタル顧客体験改善の取り組み自体は2012年から続いています。2019年に「Have a good Cashless.」というスローガンのもとで、キャッシュレスを身近に使ってもらえるように訴求し始め、デジタル顧客接点に今まで以上に力をいれるようになりました。
さまざまな取り組みをおこなっていく中でとくに力をいれているのは次の3点です。
・コールセンターのスタッフが直接顧客の声を聞く
・顧客に1対1でインタビュー
・トランザクション調査(顧客が利用体験をした直後にアンケート調査を実施)
先述のような取り組みを続けても、依然として、カードの利用で困った顧客がデジタル接点だけでは自己解決にたどりつけず、コールセンターに問い合わせするも電話がつながりにくいというネガティブな意見が届いていました。
さらなる改善を続けていくために「より深い顧客理解に努めたい」と強く思う一方で、何をすれば良いのかわからず迷子になっていたと思います。たとえば、コールセンターのスタッフから共有されるデータは数万件にもおよぶため、それを1つずつていねいに読み解くのは現実的に不可能です。しかし、何件かピックアップして参考にする場合、それが多くのお客様にとって共通する課題かどうかの判断ができませんでした。また、読み解きをして結果をまとめるオペレーターの主観がどうしても入ってしまうので、お客さまの本当の声が見えづらくなっていると感じていました。
加えて、従来のWebアクセス解析では顧客が何に注目して、どういう理由で離脱してしまったのか分かりづらいという悩みもありました。ヒートマップツールを使用すれば、サイトのどの部分が注目されているかわかります。しかし、なぜ注目されているのか、ポジティブな理由かネガティブな理由か解釈の仕方がわからなかったのです。結局は経験則や先入観による、いわゆるヒューリスティックな解釈になっていました。改善に向けて根拠のある仮説が立てられませんし、解釈をつける人が異動などによって変わると、解釈も変わってしまい、仮説のレベルも保てません。問題点があることはわかっているにもかかわらず、効果的な改善策を打てていないという苦しい状況でした。
従来のヒートマップツールは使いこなせていないと感じていたので、解約や他ツールへの乗り換えも検討している時に出会ったのがContentsquareでした。
Contentsquare主催のイベントで、すでに導入している企業とお繋ぎいただき、実際に活用している画面を見せてもらいました。率直な感想として、ツールを使っただけで「こんなことまでわかるのか」と感動したのを今でも鮮明に覚えています。
とくに印象に残ったのは「セッションリプレイ」の機能です。私たちがまさに知りたかった「お客さまサポートのページを訪れている方が、なぜ見ているのか・どこを見ているのか・何をしようとしているのか・何を探して・何で終わったのか」がわかる機能だと感じました。
このように、実際に活用している企業の生の声と、特徴的な機能が導入の決め手となりました。
導入前は「セッションリプレイ」に強く惹かれていましたが、実際に使ってみると想像以上に、他の機能との組み合わせが便利だということがわかりました。
「セッションリプレイ」はあくまで1人のお客さまの行動を解像度高く理解するものですので、本質的にはコールセンターから得られる顧客の声と同じです。しかし、「インパクト定量化」の機能を組み合わせて使うことで、同じ課題を抱えているユーザーがどれだけいるかわかるようになったのです。これによって仮説の精度がグッと高まり、効果的なPDCAサイクルが回せるようになりました。
PDCAの「Plan」だけではありません。「Check」、つまり効果検証の工程でもContentsquareによって深掘りがしやすくなりました。以前なら「数字が上がったね」という結果の確認だけで終わってしまったところが、「なぜ上がったのか」の理由を根拠をもって検証できるようになっています。それが、次に回す施策につながっていきます。
また、Contentsquareを使用することで、計画策定の質も向上しました。データによる仮説構築から、効果分析、次の施策を決めるところまで、全体で何カ月必要であるかが明確にわかるようになったのです。さらにツールを使うメンバーの意識も変化しました。最初の検証でこのような結果がでたら次はこのようなトライをしよう、という分岐をあらかじめ設定するようになったのです。行き当たりばったりな取り組みが無くなったことは組織としての大きな成長だと感じます。
当社ではマーケティングやITに詳しくないメンバーがマーケティング本部やわたしたちIT戦略部に異動してくるケースもあります。そのようなメンバーでも直感的に操作できることもContentsquareの魅力です。こうしたツールは、導入に関わった担当者だけが使っても意味がありません。その点、Contentsquareは「みんなでデジタル化を推進する」というきっかけの一つになっています。
Contentsquareパートナーで導入・運用支援を提供しているギャプライズと一緒に分析・改善した具体例として、カード入会画面改善の事例を紹介します。
【課題】
入会サイトでカード入会のための個人情報を入力する画面での離脱が多いことは判明している。さらに、入力完了後にページ下部の「次へ」ボタンが活性化されるつくりになっており、そのボタンのエリアで離脱が多いことも特定できていた。
しかし、なぜそのエリアで離脱してしまっているのか、原因がわからない状態だった。
【再現動画で離脱理由が判明】
Contentsquareのセッションリプレイで顧客の行動が見えるようになり、離脱原因がわかった。
具体的には、住所エリアで番地を未入力のままページ最下部までいって「次へ」ボタンがクリックできず、ページ上部に戻って未入力項目を改めて入力しているという顧客行動が見えるようになった。
さらに、このUIの影響で10~20%の離脱が発生していることもContentsquareの機能で判明した。
【UIの改善でコンバージョンアップに貢献】
未入力のまま進むことを防ぐために、入力した住所をユーザーに確認する仕組みを取り入れたところ、未入力のままページ下部に進むユーザーが減少した。
結果として、コンバージョンの約5%アップに繋がった。
三井住友カードでは、このように従来の分析ツールではわからなかった「数字の裏に隠されている顧客行動」を理解できるようになったのはContentsquareのおかげだと評価しています。
クレジットカードは、商品自体で差別化するのが難しい業界です。だからこそ、カードをフリクションレスにずっと使い続けてもらうために、顧客がとにかく使いやすく、違和感なく使えるようひたすら改善を続けていく必要があります。改善には絶対の正解がありません。そして、続けていくことに意味があると私たちは考えています。今後も一生懸命、顧客体験の改善を続けていきます。
より精度の高い顧客のニーズやフリクションの発掘に、今後もContentsquareが貢献してくれることを期待しています。
ーーありがとうございました。
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